日赤発祥の地・熊本 〜連載企画〜

連載27 熊本城内の征討総督本営(ジェーンズ邸)(Ⅰ)~「博愛社」の誕生と活動の記録~

佐野常民の足跡で確認できる詳細な史料は、残念ながらあまり残されていない。以下、事実のみを拾ってみる。

<1877年(明治10年)>
<4月11日>
辞令「御用有之九州筋へ被差遣候事」(元老院日誌) (佐野常民が提出した休暇願が、岩倉具視の計らいで出張の辞令に変更された。)

<4月12日>
佐野常民、九州へ向って神戸を出発

<4月17日>
本営ハ旧藩中学ノ教師館也(ジェーンズ邸)「熾仁親王日記」

<4月29日>
佐野常民、長崎に到着

<5月1日>
佐野常民、熊本へ向って出発(元老院日誌第837号)

<5月1日>
熊本ニ到着シ、本務ノ余直ニ征討総督本営ニ至テ、モタラス所ノ願書及社則五条ヲ具シテ申請シ、即五月三日ニ允許ヲ得タリ。(佐野常民「博愛社第一報告」)本社の創建に方りて、常民熊本に於て其可否を山県参軍に資す、参軍深く之を賛し即ち書を征討総督有栖川親王に上り、創建の許可を請ふ。(博愛社第四報告)

<5月2日>
水曜 晴 議官佐野常民来営 葡萄酒五瓶到来之事(「熾仁親王日記」二巻)

<5月3日>
願之趣聞届候事、但委細ノ儀ハ軍団軍医部長ヘ可打合ノ事(嘆願書) 木曜 晴 佐野大給議官発起、博愛社設立願書之儀ニ付聞届之上、西京太政大臣江右之趣及届之事。(「熾仁親王日記」二巻)(京都に滞在中の太政大臣三条実美に、博愛社設立を現地で許可した旨を知らせる。)

<5月4日?>
総督宮に面談したうえで、郷里の佐賀へ赴き、資金の調達と救護員の確保を開始。医員等4名を雇い熊本に戻る。(日赤の創始者 佐野常民)

<5月8日>
横浜毎日新聞(1932号)は博愛社設立を許可した内容の有栖川総督の電報を紹介。(4日午前12時西京発電報)

<5月8日>
佐野議官常民以下数名博愛社ヲ創設シ官ト賊トヲ論セス博ク人民戦闘ニ傷ツク者ヲ治療セント請ヒ総督ノ許可ヲ得タリ(軍団病院日記抄)

<5月15日>
博愛社佐野議官撒糸若干包帯木綿六反ヲ熊本病院ニ寄贈ス(軍団病院日記抄)

<5月27日>
熊本軍団病院に派遣し救護を開始。

<5月下旬>
軍医総監松本順、軍医正石黒忠悳が熊本軍団病院視察のおり佐野が博愛社の趣旨を説明。

<6月2日>
冨岡敬明権令に博愛社設立の趣意書、印章、標章等を送る。

<6月16日>
細川護久侯は博愛社に感銘を受け、実費で士族の三浦斉、医員助竹崎季薫を熊本軍団病院に派遣協力

<6月22日>
博愛社の設立願書と社則が「朝野新聞」に掲載され、以後寄付金が寄せられる。

<6月23日>
大給恒は太政官へ社業開始を上申し麹町区富士見町四丁目の桜井忠興邸を博愛社仮事務所と定めた。

<6月25日>
熊本に博愛社熊本支局を設置(長崎、 鹿児島、大阪にも支局を設置)

<7月初旬>
松平乗承(のりつぐ)寄付金持って九州へ出張

<7月9日>
長崎に赴き松平乗承と面談し今後の救護事業について話し合う。

<7月10日>
長崎来訪中の有栖川宮「本社ノ義挙」を深く嘉納。

<7月23日>
細川護久侯博愛社に協力のため、看護手河野真澄を熊本軍団病院に派遣

<7月24日>
熊本支局の事務を冨岡敬明権令に委嘱

<?>
社の方針に従ってさらに活動を拡張しようときめた矢先、外務省からの電報で、松平乗承とともに急に帰京する。事後を長崎県令や戸田書記長らに託した。(「日赤の創始者 佐野常民」)

<8月1日>
4月23日の設立願書の却下がとり消され、博愛社の設立が政府から正式に認可された。「博愛社社則附言」を策定。

<8月7日>
皇室の思し召しにより、宮内省から1000円が下賜される

<8月15日>
社員総代桜井忠興は寄付金等を携え九州へ向かう

<9月29日>
熊本支局を閉鎖

<10月初旬>
博愛社桜井、原田委員等は鹿児島方面の視察時に敵味方の傷病者数十人を救護した。

<10月10日>
博愛社は冨岡権令の要請に応じ11月24日までの約40日間、水俣で大流行したコレラ患者救護のため竹﨑医員を派遣しまん延を防ぐ。これは、博愛社初めての災害救護となる。

<10月31日>
博愛社は長崎軍団病院とともに熊本軍団病院においても救護活動を終結した。

「救護員延べ199人、実数126人、患者総計1429名」(社史稿)

「熊本ニ於テ業務に従事シタル本社救護員ハ其總數九名ニシテ、内醫員一名醫員助四名庶務掛兼看護長一名看護手三名ナリ。其勤務個所ハ熊本軍團病院ノ外、人吉、八代、阿彌陀寺及水俣ノ四個所ニシテ、救護施行ノ日數ハ五月二十七日ヨリ十月三十一二ニ至ル百五十八日ナリ。其救護シタル患者の數ハ救療百餘名、護送四十名ノ外調査スル所ナシ。」(「日本赤十字社社史稿」第1巻)

(支部 梶山哲男)

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