日赤発祥の地・熊本 〜連載企画〜

連載9 岩倉使節団(Ⅲ) ~ジュネーブ条約との出会い~

ジュネーブ条約調印
岩倉使節団がジュネーブを訪問した当時のジュネーブ条約とはどのようなものであったのだろうか。また、佐野常民も条約の内容をもちろん調べていたはずだ。

この条約は、戦場において救護に従事する人や看護する場所すなわち野戦病院などに中立性を与え、これを攻撃しないで救護活動の安全を保証するという国家間の約束すなわち条約である。

 

アンリ・デュナンが提唱した規約制定の翌1864年(元治元年)8月、欧米16ヵ国の政府代表24人がジュネーブにおいて会議を開き、全文10力条から成る最初のジュネーブ条約、正確にいえば「戦地軍隊における負傷軍人の待遇改善のための1864年8月22日のジュネーブ条約」にバーデン、ベルギー、デンマーク、スペイン、フランス、ヘッセン、イタリア、オランダ、ポルトガル、プロシャ、スイス、ウルチンベルクの12ヵ国の代表が調印した。会議参加16ヵ国のうちアメリカ、イギリス、スウェーデン、ザクセンの4ヵ国はその場で調印はしなかったが、後に加盟した。また、ロシアも程なく加盟した。以下、参考のため当時の条文を紹介する。

(第一条)野戦病院と陸軍病院は、中立と見なすべきものとする。そこに負傷者を収容している間は、戦闘員はこれを守り、侵してはならない。但し野戦病院や陸軍病院は、兵力を以てこれを守る時は中立の資格を失うものとする。

(第二条)病院と野戦病院に働く人員は、司令部要員、医員、事務員、負傷者運搬員、宗教要員を含めて、その本務に従事し、負傷者を入院させ、または援助を与えるために残留するうちは、同様に中立を享受すべきものとする。

(第三条)前項に掲げた人員は、敵軍の占領後も従前の病院または野戦病院で職務を続行してもよく、あるいは占領以前に付属していた隊に再び参加するために退去することができる。

(第四条)陸軍病院の什器物品は退去の際、携帯してはならない。

(第五条)負傷者を救助する土地の住人を敬してその行動の自由を妨げてはならない。交戦国の将官は住民に負傷兵の救助を勧め、そうすることによって中立の資格が得られることを予告する責任がある。負傷者を受け入れて看護する家屋は、侵略してはならない。また自分の家に負傷者を受け入れている者は、軍隊の宿舎に徴用されることなく、戦時課税の一部を免除されるべきものとする。

(第六条)負傷し、または疾病にかかった軍人は、その国籍に関係なく看護すべきものとする。司令長官は戦闘中に負傷した兵士を速かに敵軍の前哨に送り返すことができる。但し状況によると共に、両軍の協議を経た場合に限る。治療後、兵役に堪えないと認めた者はその本国に送還すべきである。またその他の者でも戦争中二度と兵器を取らないことを約束した者はその本国に送還すべきものとする。傷病者が退去する時は、それを引率する人員と共に完全な中立の取り扱いを受けるものとする。

(第七条)一目瞭然で、各国に共通する旗を、陸軍病院、野戦病院、及び、退去する傷病者の班に用いるべきものとする。その際には、あらゆる場合国旗を併用すべきこと。中立の資格のある者は、腕章をも使用できる。しかしその交付は軍当局の決定に一任すべきものとする。旗及び腕章は白地に赤十字とすべきものとする。

(第八条)この条約の実施に関する細目は交戦軍の司令長官が本国政府の訓令を得て、この条約に明示した諸原則に準じて規定すべきものとする。

(第九条)ここに条約を締結した諸国は、今回ジュネーブに全権委員を派遣できなかった諸国の政府に対して、加盟の勧誘をすることに同意した。故にこの議定書には余白を残しておく。

(第十条)この条約は批准を必要とし、その批准は来たる四か月以内、またできればそれ以前に、ベルンで交換すべきものとする。

(支部 梶山哲男)


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