日赤発祥の地・熊本 〜連載企画〜

連載8 岩倉使節団(Ⅱ)~ジュネーブ訪問~

話は戻るが、岩倉使節団は、スイスの首都ベルンで大統領の進言もあり、滞在期間を延長して、赤十字国際委員会の当時の委員長であるギュスタフ・モアニエに会うため、ジュネーブに立ち寄っている。その時の会見の模様が、当時赤十字国際委員会が発行していた機関誌「赤十字国際紀要」の1873年10月号に「日本外交使節団」と題し掲載されていたのを日赤本社が2009年秋に翻訳しているので、その一部を紹介する。

 

「・・・・・・我々国際委員会がまずもってやらねばならないことは、ヨーロッパ文明に新たな門戸が開かれている所で、博愛精神を拡げていくことである。・・・・・・幸いにも、日本使節団の随員らはこの上もなく好意的に我々の話に耳を傾けてくれたばかりか、我々の熱意に実に共感を示すぐらいにまで、進歩的な者もいたのである。団長の全権大使正二位岩倉具視閣下、副使の従四位伊藤博文閣下は、立て続けに為した何度かの会談で、我々が為した説明に対して真摯に傾聴して下さり、我々の刊行物を御嘉納下さった。光栄にも閣下らが我々になげかけて下さった質問の数々からは、赤十字思想の種を何とかして日本へ持ち帰りたいという熱い思いがうかがえた。閣下らは、日本人としては以下のことを初めて認識されたことになる。すなわち、第一には、日本国民自体が同条約の遵守にまだ慣れていないかぎりでは、日本政府がジュネーブ条約に加盟するには、時期尚早であること、第二には、公的な軍衛生業務を補完するための篤志活動を呼びかける前に、多大の努力を払って、日本軍部内で、この衛生業務自体を妥当な水準にまで立ち上げねばならないこと、を認識したのであった。しかし、閣下らは、日本への帰国後に、我々がこれからの日本軍内部での諸改革に関与することをお許し下さったばかりか、この赤十字活動をめぐり、引き続き連絡をとることを我々に認めて下さったのである。・・・・・・」

つまり、岩倉使節団は篤志家による救護団体の設立やジュネーブ条約の加盟について説明を受け、赤十字の博愛精神を理解したのである。また、日本国民や軍部がまだこのような国際条約に慣れていないこと、衛生業務や医療技術が国際的な水準に達していないことを痛感したのである。ちなみに、モワニエは日赤職員なら誰でも知っている「5人委員会」の主要メンバーである。   「五人委員会」はデュナンの提案を実現させるためにスイス国内の協力者が集まり、1863年2月設立された後に赤十字国際委員会となった。メンバーは設立当時アンリー・デュナン35歳(1828~1910)、ギュスターブ・モワニエ(法律家)37歳(1826~1910)、ルイ・アピア(医学博士)45歳(1818~1898)、テオドル・モーノワール(医学博士)57歳(1806~1869)、アンリー・デュフール(将軍)76歳(1787~1875)であった。

(支部 梶山哲男)


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